おにぎらずは中にたっぷり具材を挟めるので、傷みにくい具で作れば見た目もお腹も大満足のお弁当になりますね。
ただし、おにぎらずに傷みやすい具を入れたり作り置きを前日にしたりすると、食中毒の原因となる恐れもあるので注意が必要です。
そこで具材がおにぎらずに向いているかどうかや、傷みにくい作り方・持って行き方・夏場の保存方法などを次のようにまとめて解説します。
▼この記事に書いていること
詰めすぎると食べにくいおにぎらずを上手に作るため、ご飯の量や海苔のサイズ・長方形でもいいのかなども紹介しますよ。
おにぎらずの傷みにくい具とは?
おにぎらずを作る時には、次のように傷みにくい具を選ぶといいでしょう。
傷みにくい理由を知れば、ほかの料理やお弁当作りにも活用できますよ。
それぞれの詳細を確認しましょう。
①加工肉
ハムやウインナー・ベーコンなどの加工肉は加熱処理をして作られているため、生肉と比較すると傷みにくい食材です。
形がまとまっている点も、おにぎらずの具にふさわしいポイントといえるでしょう。
ただし肉・魚類の主成分であるタンパク質は腐敗しやすい性質もあるので、しっかり加熱して余分な菌をつけないように清潔な道具を使うなど、注意してください。(参考1):株式会社東邦微生物病研究所 – 微生物による食品の化学変化~発酵と腐敗とは~
タンパク質が腐敗するとアンモニア臭を発するので、腐っているかどうかは比較的わかりやすいですね。
②冷凍食品
冷凍食品は徹底した衛生管理の元で製造された食品なので、比較的傷みにくい食材といえます。
正しく保存できていれば「冷凍庫の中で腐っていた」ということも起こりにくいので、おにぎらずの具にも使いやすいでしょう。
特におすすめなのは「自然解凍OK」の冷凍食品です。
「自然解凍OK」の冷凍食品は、通常よりもさらに厳しい衛生基準をクリアした食品で、お弁当にも凍ったままで入れられます。(参考2):東京都保健医療局 – 【食品安全FAQ】弁当用そうざいの冷凍食品を冷凍のまま…
冷凍ハンバーグやフライをそのまま具にできたら、ボリューム満点のおにぎらずができますね。
「自然解凍OK」と書かれているかどうか必ず確認し、たとえ表示があっても油断せず、「おにぎらずの持って行き方&持ち運び方」で解説するように保冷してくださいね。
③濃い目に味付けした具
おにぎらずの中身として、濃い目に味付けした具もおすすめです。
食べ物を傷む・腐らせる微生物が増えるためには水が必要ですが、塩や砂糖は食品中の水分と結びつき細菌類の活動を抑えます。
そのため砂糖や塩分をたくさん使って味付けを濃い目にすると、食材が傷みにくくなります。(参考3):内閣府 食品安全委員会 – 食品の保存を理解しよう
醤油と砂糖をたっぷり使って煮詰めた佃煮は、おにぎらずの具にぴったりですよ。
④殺菌効果がある具
おにぎらずの具に殺菌効果がある具を採用するのも一つの手です。
たとえば次のような食材がいいでしょう。
▼殺菌作用がある食材
- 梅干し
- にんにく
- カレー粉などの香辛料
- わさび
- 生姜
- 青じそ
- 酢を使ったもの
(参考4):茨城市 – ~健康テーマ 「梅雨のジメジメに負けない!お弁当レシピ」 ~
わさびや生姜・酢をそのまま具にするのは難しいかもしれませんが、味付けに使用したりご飯に混ぜ込んだりと、工夫次第で傷みにくくできます。
特に夏の暑い日は一手間かけて美味しさと安全をプラスしてくださいね。
⑤しっかり加熱調理した具
具材をしっかり加熱調理すると、おにぎらずが傷みにくくなります。
肉魚はもちろん野菜にも細菌やカビ類が付着していますが、加熱によって相当な数の菌類が死滅します。
生食できる野菜やハムのような加工品でも、なるべく加熱する方がいいですよ。
また調理の際は生焼けにならないよう「中心部を75℃以上で1分」を目安に、中までしっかり熱を通してください。
おにぎらずの食中毒に注意!傷みやすい具
おにぎらずで食中毒を起こさないためには、傷みやすい具を使わないことが大切です。
次のような特徴がある食品には、十分注意してください。
▼傷みやすい・食中毒を起こしやすいおにぎらずの具
食材の特徴 | 危険な理由 | 具体例 |
---|---|---|
汁が多い 水気が出る |
腐敗菌の増殖を促進 | ・煮物 ・生野菜 |
加熱不十分 | 細菌が残っている 可能性が高い |
・肉 ・魚 ・半熟卵 |
魚卵系 | タンパク質は腐敗しやすい | ・たらこ ・明太子 ・いくら |
生もの | ・細菌が残っている 可能性が高い ・水分が出る |
・生野菜 ・刺身 ・ローストビーフ |
デンプン質 | 腐敗しやすい | イモ類 |
生野菜は彩りも食感もいいので使いたいかもしれませんが、菌類が残っていたり水分が出て腐敗を進める可能性があります。
また加熱したとしてもデンプン質は腐りやすいので、じゃがいもやかぼちゃの使用も控えましょう。
おにぎらずの作り置きを前日に作ると傷む?スパムなら大丈夫?
おにぎらずの作り置きを前日に作れるととても便利ですが、具材の選び方や作り方には注意が必要です。
具材は「おにぎらずの傷みにくい具とは?」で紹介したように、濃い目に味付けしたおかずや加熱したものを選びましょう。
スパムのような加工肉も加熱するとより安心ですし、かつお節のような乾物もおすすめですよ。
作る際は「おにぎらずが傷まないように作るポイント」で解説するように、衛生管理や温度に注意して作ってください。
ただ基本的には、前日の作り置きより当日朝に作る方がおすすめです。
おにぎらずが傷まないように作るポイント
おにぎらずに限らずお弁当類が傷まないように作るためには「つけない・ふやさない・やっつける」が大原則です。(参考5):農林水産省 – お弁当づくりによる食中毒を予防するために
大原則を実現するため、具体的には次のような対策をしてください。
おにぎらずに限らず普段の食事作りでも役立つ情報なので、しっかり確認しましょう。
素手で触らないor清潔を保つ
おにぎらずを作る際、雑菌を「つけない」ために素手では触らず、調理器具を清潔に保つことは非常に重要です。
手指には想像以上にたくさんの細菌やウイルスが潜んでいると考えて、次のように対処してください。
- 調理前に手を洗う
- まな板や包丁を洗い水分を拭き取る
- 具はお箸で乗せる
- 握る際はラップで包むor手袋をつける
洗った調理器具に水気が残っていると、水に含まれる菌類がおにぎらずに移ったり、菌の増殖を促したりします。
よく拭き取り、不安な場合はアルコール消毒も活用するといいでしょう。
ご飯や具材を冷やす
ご飯や具材をしっかり冷やしてから作ると、菌を「ふやさない」に繋がりおにぎらずが傷みにくくなります。
ご飯や具があたたかいと「蒸気がこもる⇒水分になる⇒菌が増える」となるため、取り除くことで腐敗を抑える効果が期待できるのです。
またホカホカからゆっくり冷めると、菌が増えやすい温度が長く続くことになります。
風をあてたり保冷剤を使ったりして、早く冷ますことも大切なポイントです。
水分をしっかり取り除く
水分をしっかり取り除くとおにぎらずを傷みにくくできるので、次のような対策をしましょう。
- 水気の少ない具を使う
- きんぴらや佃煮はしっかり水分を飛ばす
- 調理器具をよく乾かす
水気を取り除けば「ふやさない」になり、しっかり加熱して水分を飛ばせば「やっつける」にもつながります。
10度以下で保管する
食中毒の原因となる菌類を「ふやさない」ためには、温度を低く保つことも重要です。
食物の傷みや食中毒の原因となる細菌・ウイルス類は、温度によって増え方が変わります。
▼【温度別】主な細菌やウイルスの増え方
- -15℃以下:ほとんど増えない
- -15~10℃:増殖がゆるやか
- 11~20℃:活発に増え始める
- 35~40℃:もっとも活発に増える
温度を10℃以下に保つと増えるスピードを抑えられるので、おにぎらずが傷みにくくなりますよ。
ご飯は酢飯にする
おにぎらずを傷める細菌を「ふやさない」ために、酢をご飯に混ぜるのも一つの手です。
酢には殺菌・抗菌効果があるので、酢飯は普通の白飯よりも傷みにくくなります。
また梅干しをほぐしてご飯に混ぜ込んでも、酢飯と同様の効果を期待できます。
ご飯がピンク色になるので見た目も可愛いですし、梅干しの酸味で食欲もわきそうですね。
おにぎらずのご飯の量はどのくらい?
おにぎらずを作る際、ご飯の量は100~130g程度がおすすめです。
ご飯が多すぎると海苔で包みにくく、特にボリュームのある具を挟みたいときは溢れてしまいます。
▼お茶碗に盛ったご飯の分量目安
100g | ・子供用茶碗:約1杯分 ・大人用茶碗:半分程度 |
---|---|
130g | ・子供用茶碗:大盛 ・大人用茶碗:軽く1杯 |
ご飯の分量や形がわかりにくい人には、1個150g入りの豆腐のパッケージを使うのもおすすめです。
よくスーパーで3個セットで売られている豆腐ですよ。
豆腐のパックにご飯を敷き詰め、おかずを載せ、上にもご飯を重ねると、ちょうど包みやすい大きさのご飯が出来上がります。
初心者でも上手に作れるので、気になる人はぜひ試してみてください。
おにぎらずの海苔は長方形でもOK?海苔のサイズ
おにぎらずは海苔が長方形でも作れます。
全形の海苔(正方形に近い形)を使い、4つの角を折りたたむように包むのが一般的な作り方ですが、次のようなパターンであれば長方形(半切)の海苔でも作れますよ。
▼長方形の海苔でおにぎらずを作る方法
- 海苔2枚をクロスさせて包む
- 海苔1枚で小さめのおにぎらずを作る
海苔を2枚使う場合、1枚目を横向きに置いて真ん中にご飯と具を載せて端を折りたたみ、2枚目を包みきれなかったご飯を隠すように縦に置き包みます。
長方形の海苔1枚でおにぎらずを作る方法は、わかりやすく解説した動画があるので参考にしてください。
▼長方形の海苔を使ったおにぎらずの作り方動画
▼ハーフおにぎらずの作り方
- ラップに長方形(半切)の海苔を置く
- 全体に薄くご飯を載せる
- 真ん中に具を載せる
- 具の上に薄くご飯を載せる
- 両端を中央に向かってたたむ
- 両端をギュッと押さえて馴染ませる
少し小さめのおにぎらずなので、子供や女性にはこちらの方が食べやすいかもしれませんね。
おにぎらずの持って行き方&持ち運び方
おにぎらずの持って行き方でおすすめなのは、お弁当箱に詰める方法です。
型崩れしにくいので持ち運び方も楽ですし、半分にカットしたおにぎらずを断面を上にして詰めれば、見た目も華やかになります。
丸いランチボックスなら、真ん中におにぎらずを入れて周りの隙間におかずを詰めるといいですよ。
夏場は傷みやすいので手早く冷まして冷蔵庫で保存し、持ち運ぶ際は必ず保冷剤入りの保冷バッグに入れましょう。
「切らずにそのまま持って行きたい」「お弁当箱に詰めるのも大変」という場合は、おにぎらずを作ってそのまま持ち運べる専用ケースもありますよ。
上手に作れるうえ洗って繰り返し使えるので、作るための道具としても重宝しそうですね。
おにぎらずは食べにくい?綺麗な切り方は?
おにぎらずには「食べにくい」「切り方が難しい」という意見があります。
食べにくいのは「具材が大きすぎてこぼれる」という意見のほか、「海苔が噛みきれない」という悩みもあるようです。
おにぎらず…ってのをやってみた。いいんだけど食べるときに海苔が重なってるところ噛みきれない。引用元:X – @tancotanchi
おにぎらずの食べにくさを解決するためには、次のように対策するといいでしょう。
- 具材を控えめにする
- 長方形の海苔を使って小さめに作る
- 海苔に穴を空ける
海苔が噛みきりやすくなるので、ご飯を載せる前にフォークや包丁・もしくは専用のパンチを使って穴を開けましょう。
また切り方の失敗は、長い具材を挟んだ時によく起こります。
やっぱり…切り方間違えました…挟んだ”ウインナー”、”丸い切り口”なはずが!長い…失敗(ノ_<。)引用元:X – @reihappy
断面のミスを防ぐためには、包むときに向きを確認し忘れないうちにラップに印をつけるといいでしょう。
それでも不安な場合は、細長い具を使わず丸い具を使うとどの向きで切っても綺麗な断面になります。
厚焼き玉子や目玉焼き・ハンバーグなどがおすすめですよ。
まとめ
おにぎらずの傷みにくい具や食中毒を防ぐ方法について解説してきました。
- よく加熱した濃い味付けの具がおすすめ
- 殺菌効果がある酢や梅干しも〇
- 水気の多い具はNG
- 手や調理器具も清潔に保つ
- ご飯や具は冷ましてから包む
- 海苔は長方形(半切)でも作れる
- 海苔に穴を空けると噛みきりやすい
おにぎらずを傷みにくくしたいなら、菌をつけない・ふやさない・やっつけることが大切です。
菌が入らないように清潔にし、しっかり加熱してやっつけ、増殖を助ける水分を取り除きましょう。
酢や梅干しのような殺菌作用がある食材も活用し、便利でボリューム満点なおにぎらずを美味しく楽しんでくださいね。
▼参考にしたページ一覧
・(参考1):株式会社東邦微生物病研究所 – 微生物による食品の化学変化~発酵と腐敗とは~
・(参考2):東京都保健医療局 – 【食品安全FAQ】弁当用そうざいの冷凍食品を冷凍のまま…
・(参考3):内閣府 食品安全委員会 – 食品の保存を理解しよう
・(参考4):茨城市 – ~健康テーマ 「梅雨のジメジメに負けない!お弁当レシピ」 ~
・(参考5):農林水産省 – お弁当づくりによる食中毒を予防するために
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